16時間ファスティングとは
24時間を「食べる8時間」と「食べない16時間」に分けてしまう方法です。この時間設定以外にルールはありません。完全な断食とはすこし違いますが、カラダへの負担が少なく誰でもトライできます。また準備がいらないので思い立ったらすぐにでもはじめられる方法です。近年海外セレブの間でも話題にあがることが増え「インターミッテント・ファスティング」などとも呼ばれています。
16時間の理由
体内に蓄積されている脂肪の燃焼がはじまるのは食後10時間以上たってから。さらに血液中の糖質や脂質のパーセンテージが下がり始めるのは12時間後からになります。そしておよそ16時間でオートファジーが働きはじめるといわれています。ここに「16時間」の理由があります。
16時間のメリットは?
「完全な断食でないのなら、本格的に数日間行う方がよいのでは?」「16時間では効果が少ない?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
ある研究によれば空腹時に胃から分泌される空腹ホルモン「グレリン」には、脳細胞の成長を活性化させ認知力や記憶力を向上させる効果があるとのこと。空腹によって血糖値が下がることで神経細胞内のたんぱく質が活性化し記憶力が高まるという研究があります。
また、毎日決まったタイミングで空腹になることは自律神経を整えるのに重要なこと。食べたものの消化・吸収がすっきり終わることで交感神経と副交感神経の連携がスムーズに働くようになるのです。生活リズムが整うことで腸内を良好な状態に保てるようになると、セロトニン、関連してオキシトシンなどの幸せホルモンの分泌が増えます。
これらのことから、小さな空腹時間を継続的にくりかえすこの方法ではダイエット効果はもちろんのこと、メンタルの安定にかかせない食習慣が自然に身につくという点も大きなメリットであるといえます。
どの方法にするかを考えるとき、ファスティングは体力の消耗もするということを頭に入れておかなくてはなりません。通常の数日間ファスティングでは脂肪の燃焼と同様に筋肉も減りやすくなります。そのため自分の体調をしっかり把握したうえで専門家の監修下で行うことが望ましいとされていますが、その点、16時間程度の制限であれば急な体調変化のリスクをとることなく比較的安全にすすめることができるというわけです。
スケジュールの決め方
8時間のあいだならどのタイミングで食事や間食をとってもよいのですが、ダラダラと食べ続けてしまうとせっかくのファスティング効果も薄れてしまい、生活リズムの乱れへとつながりかねません。通常食べたものの消化には2~3時間かかるといわれていますから、食事に加え間食を摂るならその時間も含め、あらかじめ決めておくことをおすすめします。
10:00 ブランチ
(食事、間食、カロリーのある飲料はこのあいだで摂る)
18:00 夕食完了!
13:00 昼食
(食事、間食、カロリーのある飲料はこのあいだで摂る)
21:00 夕食完了!
いま現在の生活リズムと照らし合わせてスケジュールを考えてみましょう。急にサイクルを変えようと考えるよりも、まずは「できそうなパターンを試してみよう」くらいの気持ちではじめることが成功への近道です。
【8時間中】食事&水分
8時間中の食事には、特に決まりはありません。ただ、その日最初に口にする食事だけは少し気をつかいましょう。というのは、16時間の疑似的な飢餓状態のあとですから、このタイミングで摂るものをカラダは必死に吸収しようとするのです。ここでいきなり焼き肉、ラーメン、ピザの食べ放題…というような食事ではせっかくのファスティング効果が薄れてしまいます。
例えば、デトックス効果の高い生姜湯、腸内環境を整えてくれるヨーグルトなどの発酵食品、抗酸化作用のある紅茶、水溶性食物繊維の多い海藻サラダは脂肪や糖の吸収を妨げてくれます。時間があれば野菜やフルーツでオリジナルのスムージー、お味噌汁に酒粕を少量溶かせばお通じに効果があるので午前中のメニューにはぴったりです。
また、脂肪を落としたい方にはお酢(レモンや黒酢、バルサミコ酢などでも)を摂ることをおすすめします。お酢のアミノ酸は脂肪の燃焼を促進し、血液の循環がよくなります。
【16時間中】水分のみ
16時間中は食べ物を控えますが、ハーブティーやノンカフェインコーヒー、水などカロリーのない水分であれば問題なく摂れます。(人工甘味料などの添加物を含んだ飲料はここでは避けましょう)
この時間に睡眠も入ることになりますから、もしもどこかのタイミングで空腹を感じるとしてもガマンしなければならない時間はそれほど長くならないでしょう。カラダを温めてくれる白湯は起床時にも就寝前にもおすすめです。
まとめ
ストイックに「ガマン」と思うと辛くなってきます。少しくらい予定通りにならない日があっても大丈夫ですから「慣れるまではお試し期間」くらいのゆったりした気持ちで始めましょう。
ファスティングが成功してすっきり変わった自分の姿をイメージしながら、積極的に摂りたい食品やメニューをあれこれ考えるのも楽しいものです。習慣化していくことで「自分自身をコントロールできている」という自信も身についてくることでしょう。